働きながら資格取得を目指せる准看護師は、就職先が豊富なことから人気の資格です。そこで准看護師の平均的な給料がいくらなのか、気になっている方も多いことでしょう。同じ業務に従事する看護師との給料の差も気になりますよね。
今回は准看護師の給料事情や、誰もが気になる給料アップの方法も紹介するので、准看護師を目指している方はぜひ参考にしてください。
准看護師の平均給料(平均給与)
2019年の賃金構造基本統計調査から、10人以上の企業規模で働く准看護師の給料事情について調べました。
年収 | 月給 | ボーナス | 労働時間 | 超過労働時間 | |
男 | 424万9,100円 | 29万6,800円 | 68万7,500円 | 157時間 | 3時間 |
女 | 400万6,100円 | 28万800円 | 63万6,500円 | 158時間 | 4時間 |
男女計 | 403万400円 | 28万2,400円 | 64万1,600円 | 158時間 | 3時間 |
准看護師の給料は、男女の差が小さいのが特徴です。国税庁は、資本金2,000万円未満の株式会社に働く給与所得者の平均的な給料は、42万4,900円、そのうち男性は51万6,500円、女性は25万8,400円と公表しています。
国税庁の発表と比べると准看護師の男性の給料は低く見えますが、女性の給料は同等レベルです。
労働時間を見てみましょう。週休2日で働くと、毎月22日程度勤務することになります。労働時間を22日で割ると、勤務時間は7時間程度です。
1日8時間とする法定労働時間に加え、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えるとする法定の休憩時間も守られているように推察できます。残業にあたる超過労働時間も、3〜4時間と少ないことから、比較的に定時に仕事を終えやすい職業といえるのではないでしょうか。
地域別の平均給与
2019年の賃金構造基本統計調査から、准看護師の給料事情を地域別にご紹介します。
上段は女性 下段は男女計 |
毎月の給料 |
ボーナス |
年齢 |
東京都 |
33万3,000円 |
56万7,000円 |
51.6歳 |
33万3,000円 |
58万4,000円 |
51.6歳 |
|
福岡県 |
25万7,000円 |
64万円 |
46.0歳 |
25万8,000円 |
61万6,000円 |
45.6歳 |
|
秋田県 |
24万4,000円 |
63万3,000円 |
50.8歳 |
24万4,000円 |
63万円 |
50.5歳 |
|
宮崎県 |
22万5,000円 |
44万5,000円 |
49.2歳 |
22万2,000円 |
43万6,000円 |
48.1歳 |
|
沖縄県 |
26万3,000円 |
53万3,000円 |
55.7歳 |
27万4,000円 |
54万5,000円 |
54.3歳 |
地域ごとに給料やボーナスを比較すると、地域によって非常にバラツキがあることがわかりました。
このことから、地域によっては准看護師の平均的な給料よりも多い場合もあれば、かなり少ない場合もあるということがわかります。
地域によって年収には100万円程度の差が出る
働く地域によって、准看護師の年収は大きく異なります。都会で働くと年収が高くなり、地方で働くと年収が低くなる傾向にあることを知っておきましょう。
実際に准看護師の年収の地域差は、100万円程度にもなる場合があります。2019年の賃金構造基本統計調査を元に、比較しやすいよう以下にまとめました。
都道府県 | 年収(男女計) |
全国平均 | 403万円 |
神奈川県 | 458万9,000円 |
宮崎県 | 309万6,000円 |
調査年度によって、都道府県ごとの年収水準の差は広がったり縮んだりすることももちろんあります。
資格を取得した地域に関わらず、准看護師の資格を活かして日本全国どこでも働けるのがポイントです。地域が変わると年収の水準も変わるので、仕事探しの際の参考にしてください。
准看護師の主な仕事内容
准看護師の主な仕事内容は「医師・歯科医師又は看護師の指示のもと」「傷病者若しくは褥婦」に関わるもので、法律によって次の通り定められています。
- 入院患者の日常生活の世話や看護
- 医師の診療、診察の補助
具体的な業務の範囲は、非常に多岐にわたります。
- 血圧・体温・脈拍などの測定
- 点滴
- 注射・採血
- 手術の補助
- 夜勤巡回
- 患者さんの移送
- 介助(食事、着替え、排せつ、清拭、入浴)
- 体位変換
- カルテの記載
- カンファレンスへの参加
患者さんと円滑なコミュニケーションを心がけて症状を把握することも大切な業務です。また患者さんの不安や疑問に耳を傾ける役割も果たします。
業務範囲は看護師と同じ
看護師と准看護師と業務内容は、基本的に同じです。双方とも患者さんの命に直接関わっているため、常に適切な処置を徹底する責任が伴います。
ただし異なる免許をベースに看護業務に従事しているため、指示系統に大きな違いがあるのです。
看護師は主体的に判断し業務を遂行できますが、准看護師は業務の遂行にあたっては医師や看護師の指示を受ける必要があると法律で定められています。
准看護師ができない業務
准看護師は、医師や看護師の指示のもとに業務を遂行します。そのため自ら判断して業務を遂行したり、看護師に指示を出したりはできません。
患者さんから入浴介助を頼まれたケースを例に、違いを考えてみましょう。頼まれたのが看護師だった場合には、自分で判断し介助の準備をして業務に移ります。一方、頼まれたのが准看護師だった場合には、すぐに業務に移れません。真っ先にすることは、その日のリーダー看護師などに報告して指示を仰ぐことです。
新人の看護師が緊急対応をせざるを得ないケースであっても、ベテランの准看護師は指示を仰ぐ必要があります。
さらに「看護計画の立案」にも准看護師は関わることができません。看護計画の立案は、看護師が責任を持って遂行すべき業務とされています。
准看護師の働く場所
令和2年の看護統計資料を見ると、看護師の約7割が病院勤務を選ぶ一方、准看護師は診療所・クリニック、介護施設などでも働いています。
准看護師の働く場所の内訳は、約6割が診療所や介護老人保健施設・介護老人福祉施設、訪問介護ステーションなどです。残りの約4割の准看護師は病院勤務を選んでいます。
実際に幅広いジャンルの施設で働いている准看護師が多いようです。看護の現場では准看護師は貴重な戦力としてニーズが高く、就職先に困ることはありません。しかも主に正職員として採用されるので、安定して働きたい方にぴったりです。
また視野を広げると病院や介護施設の他にも、准看護師としての知識や資格を活かせる職場はあります。
企業、学校・大学、地方自治体の中には、健康や医療に詳しい人材を求めている場合もあるからです。看護の現場から離れることになりますが、看護実務の知識を活かした相談業務や企画の立案など、思いがけない仕事に出会えるかもしれません。
自分の適性をよく考え、幅広く仕事を探すと良いでしょう。
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正看護師の平均給料(平均給与)は?
ここでは准看護師の給与を比較するために、2019年の賃金構造基本統計調査から、10人以上の企業規模で働く看護師の給料事情について調べました。
年収 | 月給 | ボーナス | 労働時間 | 超過労働時間 | |
男 | 496万800円 | 34万3,700円 | 83万6,400円 | 154時間 | 6時間 |
女 | 481万3,600円 | 33万3,300円 | 81万4,000円 | 154時間 | 7時間 |
男女計 | 482万9,100円 | 33万4,400円 | 81万6,300円 | 154時間 | 7時間 |
看護師の給料は、准看護師よりおよそ20%増しといったところです。給料において、男女差も少なく、女性としては稼げているように見えます。しかし夜勤をこなしたり、体力を必要とされる重労働も時にはこなしたりすることを考えると、少し物足りない印象です。
病院で准看護師に指示を出すなど、責任ある業務をバリバリこなす中堅看護師たちにとっては、仕事内容と給料がアンバランスだと感じるかもしれません。
准看護師の給料をアップする方法
准看護師が給料アップを目指す際には、キャリアやスキルを高く評価してくれる職場への転職することもひとつのあり方です。
しかし准看護師が将来のキャリアアップと同時に給料アップを考えるなら、看護師の資格取得を目指すと良いでしょう。都道府県知事によって発行される准看護師の資格と、厚生労働大臣によって発行される看護師の資格の差はとても大きいからです。
保助看法第6条で「医師・歯科医師又は看護師の指示のもと」業務にあたると定められている准看護師は、責任の取れる範囲や指導できる範囲が看護師よりも限定されます。そのため看護の現場で昇進していくためには、より責任の範囲が広い看護師の資格が必要になるのです。
看護師の資格を取得すると、以下の看護業界のスペシャリストを目指せます。
- 保健師
- 助産師
- 特定看護師
- 専門看護師
- 認定看護師
- 診療看護師
准看護師資格を有する方向けに、「全日制」「定時制」「通信制」のカリキュラムが整備されています。教育年限は原則2年以上、定時制の場合は3年以上です。金銭面の不安や家族の理解など、進学の決断は簡単にできないかもしれません。
しかし周囲の理解が得られたり、子育てが一段落ついたりしたタイミングでチャレンジしてみてはいかがでしょう。
もし、看護師を目指したい方は、当ブログの「准看護師から正看護師へキャリアアップ!資格を取得する方法とは?」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。
准看護師の給料は地域ごとに大きく変わる
准看護師の給料は、東京など大都市圏では高くなる傾向があります。一方、地方に行くと准看護師の給料は低くなり、勤務する地域によって大きく異なるのが特徴です。准看護師の給料には、地域ごとに設定されている最低賃金の違いも反映されているのかもしれません。
仕事の成果を実感するためにも給料の高さは重要ですが、給与が高い看護の現場ではより多くの重圧や責任が伴うことも考えられます。准看護師としてキャリアアップと給料アップを目指すなら、看護師を目指すことも視野に入れておきましょう。