看護師から養護教諭を目指す2つのルート!求められる5つの資質と養護教諭になるメリットを解説

看護師から養護教諭になるなら○○に行くのが正解!

養護教諭は、いわゆる「保健室の先生」です。保健室の先生は、休み時間にちょっとしたお喋りをしたり、ついフラッと保健室に寄りたくなるような、学生にとって心の居場所を作ってくれる先生であると皆さんおっしゃいます。そんな学校にとって欠かせない存在に興味を持った皆さんは、未来の子どもに愛と希望を与えたい使命感をきっと大きく持たれていることと思います。

今回は、養護教諭の仕事内容や向いている人の特徴、看護師からどうしたら養護教諭を目指せるか就職までの流れなど解説します。

この記事は、看護学校に通いながら「看護師志望だったけど、養護教諭に興味が湧いてきた」という方や、既に看護師として働きつつ、キャリアチェンジで養護教諭になりたいと考え始めた方にピッタリの内容です。ぜひ最後までご覧ください。

養護教諭の仕事内容

机でカルテを記入している養護教諭

養護教諭は心と体、両方のケアや指導をする、子どもの学校生活に欠かせない存在です。具体的な仕事内容として、以下の5つが挙げられます。

健康相談

保健室には、健康面と心の面、それぞれ問題を抱える子どもが相談に来ることがあります。相談をうけ、学校生活に適応できるようサポートやアドバイスを行います。場合によっては担任の先生やスクールカウンセラーと連携して問題解決していきます。

健康診断

学校で定期的に行われる健康診断は、身体測定の計画や実施場所の準備等、すべて養護教諭が行うため、一番忙しい時期になります。健康診断当日には診察結果を書類に書き込むなどの補助を行います。また、全児童生徒の診断結果は保護者に報告して、学校でも保管します。

保健指導

養護教諭は教育者の一人なので、手洗いうがいの指導、歯医者さんを呼んだ保健に関する行事の計画立案、さらに学校の掲示物など、保健の観点から、指導を行います。保健体育の授業では、性教育など、時に授業を任されることもあります。

救急処置

学校内で発生した子どもの怪我や体調不良に対して、応急処置をします。養護教諭は医療専門職にあたりますので、緊急処置はより専門性を発揮する場になります。養護教諭は医療系の資格を取得しているわけではないので、医療行為は行えません。しかし、看護師免許を持っていれば、養護教諭としてできることは限られていても、その先の処置まで考えることができるため、保護者児童生徒からの信頼は厚くなるでしょう。

環境衛生

学校保健安全法の学校環境衛生の基準に基づいて、学校内の環境が衛生的に保たれるよう管理する仕事です。水質検査(水道水)や空気検査(空気や気温、照明の明るさ)などを行います。

看護師から養護教諭になる2つのルート

迷路の答えを眺める女性

養護教諭になるためには、養護教諭免許状を取得する必要があります。以下の3種類があります。

  • 養護教諭一種免許状(条件を満たす大学で、養護と教職に関する所定の単位を修得すると取得できる)
  • 養護教諭二種免許状(条件を満たす短期大学などで養護と教職に関する所定の単位を修得すると取得できる)
  • 養護教諭専修免許状(大学院または大学の専攻科に1年以上在学して、所定科目で必要な単位を修得すると取得できる)

看護師から養護教諭になるためには、免許を取得して、公務員や教員と同じく採用試験を受けて合格しなければなりません。まず、免許を取得するために、特に多くの受験生が行かれたルートを2つ解説します。

ベストは看護大学

養護教諭一種免許状を取得するためには、大学で所定の単位を修得する必要があります。養護教諭を目指すことが確定しているのであれば、教育学部に行くのもありですが、一番は看護大学に行くことです。3点、詳細を見ていきましょう。

看護師だからこそ看護大学では有利

「看護学は既に分かっているから、二度手間では」と考えるお声もありますが、看護師だからこそ、看護大学に行けば、専門知識を理解している分授業もスムーズに受けられますし、養護教諭に特化した講義の予習復習に時間を割くことができます。

看護大学なら就職浪人のリスクが少ない

またこれは、まだ看護師として働いていない、看護師になるか養護教諭を目指すか迷っている方に対してですが、看護大学に入れば、看護師も養護教諭も、両方の免許を得ることができます。養護教諭は倍率も5倍以上と高く、必ず一発で合格するとは限りません。ですが看護師は基本、就職で困ることはありませんので、リスク分散もできます。

看護師資格だけでも学校で働ける場合がある

さらに、もし国公立の学校にこだわらなければ、看護師免許を持っているだけでも、学校の看護師として働くこともでき、就職の幅が広がります。

看護大学について、具体的に試験内容を知りたい方は「看護大学の入試科目一覧と偏差値は?国公立・私立大学の入試情報を解説」をご覧ください。

早く養護教諭になりたいなら短期大学

短期大学なら、早くて2年で卒業でき、すぐ養護教諭として働けますし、学費も押さえることができます。

ただ、短期大学の場合は、4年制大学よりも学べる範囲が少なく、その分採用試験を受ける際も、4年制大学の学生に対して不利になりやすいです。


✅仕事と両立していて時間がない、最短1ヶ月で対策したい

養護教諭に求められる5つの資質

大きく笑顔で深呼吸する看護師

養護教諭に求められる資質は、次の5つが挙げられます。

  • 全体を冷静に把握・判断できるか
  • コミュニケーション能力
  • 柔軟性
  • 周りと協力・連携する姿勢
  • 医学の専門知識

どのような方が向いているのか詳しく見ていきましょう。

全体を冷静に把握・判断できるか

養護教諭は特定の学年の担当ではなく、学校全員の保健の担任という役割があります。そのため、1人の子どもだけに向き合う時間を取るのは難しいです。学校内で子どもたちの様子を見て回ったり、教師や時に保護者から、子どもの様子を聞いたりして、学校全体を把握する必要があります。

そのため1人の子どもだけにつきっきりになるのではなく、状況に応じて担任の先生に事情を話して引き継いでもらったり、カウンセラーなどを探して紹介したり、冷静に距離感を持って人と向き合える方が向いています。

コミュニケーション能力

例えば健康相談を子どもから受けたとき、子どもはどこが具合悪いのか、またどんな悩みを抱えているのか、うまく説明できないこともあります。そんなとき、養護教諭は子どもの心に寄り添って、答えを出せるよう適した質問を投げかけたりして、解決へと導くコミュニケーション能力が求められます。

相手が口ごもっていても待ってあげたり、共感してあげられる、包容力を持つことが大切です。

柔軟性

養護教諭は子どもたちと触れ合いながら体と心のケアをする仕事の他、裏では資料作成やデータ管理など、事務作業も多くあります。どちらかに偏っては仕事のバランスが崩れますので、柔軟に動けるようタスク管理能力が必要です。スケジュール管理が得意、また俯瞰して状況を見れるという人は、対応しやすいでしょう。

周りと協力・連携する姿勢

養護教諭は基本、1学校に1人であることが多いです。1人で全児童生徒の保健に関する指導・管理をすることは不可能ですので、教師をはじめ様々な人と協力していくことが大切です。問題を抱える子どもがいれば、その担任に教室での様子を聞いたり、学校内で解決が難しい場合は、どの機関と連携を取るのがベストか判断し、外部の関連機関と連携して対応していく力が求められます。自分一人でできることには限界がありますので、積極的に周りに頼れる人が向いています。

医学の専門知識

保健の先生ですから、当たり前のことではありますが、直接医療行為はできませんが、児童生徒の状態を見て、病院に連れていくなどの判断をするために、基本的な医療知識が必要となります。

福利厚生・給料は看護師より良い?メリット・デメリット

福利厚生

看護師は、夜勤や休日勤務などあり、稼ぐことはできますが生活リズムが不規則になりがちな職業です。一方養護教諭は、公務員と同じ基準であるため、土日祝日しっかり休みを取れて、有給休暇や夏季休暇、育児休暇などの福利厚生も充実しており、家庭と仕事の両立がしやすいです。

また、教育現場で実践を積むことでキャリアアップも見込めます。

給料

給料に関しては、看護師の平均年収が492万円、養護教諭が669万円と言われており、養護教諭の方が高いです。ただし、養護教諭(教員)は、年数を重ねるほど昇給していく形式であるため、勤務し始めたばかりの頃は、看護師より低くなります。それでも、看護師と違って残業も少なく、福利厚生含め全体を考えると、養護教諭の方が安定していると言えます。

養護教諭になるメリットとデメリット

養護教諭は福利厚生・給料など、働く上でメリットが大きいですが、人によってはデメリットも感じるでしょう。以下に看護師から養護教諭になるメリットとデメリットをまとめました。養護教諭を目指したい方も迷いが出た方も、目指したい、やりがいを求めていると思いますので、メリットに目を向けて、前向きに考えていきましょう。

メリットデメリット
生徒の健康や幸福に貢献できる給与水準が他の医療職に比べてやや低い ※ただし年功序列なので、年数を重ねるほど給料は増える
看護師の知識を活かせる人員不足や予算不足による負担感がある
専門知識があるので保護者から信頼されやすい緊急事態への対応が求められる場合がある
特別支援学校で看護師・養護教諭の両方で活躍できる生徒の健康状態や問題に常に気を配る必要がある
学校のカレンダーに基づく長期休暇が取得可能一部の生徒や保護者との対応が困難な場合がある
家庭と仕事の両立がしやすい 
教育現場での経験や専門知識の習得によるキャリアアップが見込める 

看護師から養護教諭を目指すなら看護大学に行こう

看護師から養護教諭を目指す場合、就職の面においても、また学ぶ内容の充実さからも、看護大学を目指すことがおすすめです。一種・二種・専修それぞれ免許によって、学歴にも差が出てくるため、給与面で違いが出てくることもあります。

学校からも保護者からも信頼される養護教諭になるために、4年制大学で充実したカリキュラムを学んで、合格されることを応援しています。


✅仕事と両立していて時間がない、最短1ヶ月で対策したい